少しずつ読んでいた「この地獄を生きるのだ / 小林エリコ(イースト・プレス)」を読了。
同人誌即売会「文学フリマ」にて頒布されたものを加筆修正したものが本書ということだ。
エロ漫画の編集者から生活が一転した著者。
自殺未遂、生活保護、デイケアでの生活、そして沸き起こる感情。
この国で生きている労働者なら、だれもが墜ちる可能性がある。
デイケアだって営利を優先する。囲い込み、利潤を吸い上げる。資本主義の一面。
本のタイトル通り、この「地獄」から再生する日々の記録が綴られている。
絶対に他人事ではない。このことを笑うことが出来る人間がいるとしたら、生まれたときから既得権益に守られ、脅かされることがない人間だけだろう。大物政治家の子息?
とくに終盤のこの件は、筆者の思いがすごくこもっていると感じた。
自分が弱者の側に陥る可能性があるといことを想像できないのだろうか。
国民が税金や保険料を納めているのは「いざというとき」のためだ。1秒後には交通事故で働けない身体になるかもしれない。過労がたたって精神的に病んでしまうということもある。勤めてる会社が倒産したり、リストラに遭うことだって考えられる。いま働くことができている人が「こちら側」になる可能性はいくらでもあるのだ。
そうでなくても、人は必ず年老いて、いつか弱者になる。
そしてこの著者が「再生の過程」で携わり、発行した単行本も読んでみたい。
文学フリマというイベント、気になってきたー。
寝る。