枯れた花もいい
私はよく、ものを知らないねぇ、と言われる。
この前、住宅街を歩いていると、敷地から道に綺麗な花が飛び出ている家にぶつかった。
早速鞄からカメラを出し撮り始める。
なかなか思ったように撮れないな、と思っていると、花の陰からその家のご主人とおぼしき男性が現れた。
近くで猫がにゃあと鳴いている。
「その花はしおれて、撮り頃ではないよ」
「いえ、綺麗な花だったので、つい撮ってしまいました。とても綺麗だと思います」
という会話から始まり、
「花かー。アラキは、墓の枯れた菊を撮ってたなー。そういうのもいいんじゃないか」
「…。そうなんですね、なるほど」
「あれ、アラキ知らないかい?アラキだよ。」
「…いや、ちょっと存じないです」
「最近、カメラを始めたのかい?」
「はい、そうなんです」
「私は歳を取って身体が動かなくなってきたから、カメラは今はやってないけど、前は○○○社の○○に所属しててね」
「それは凄いですね」
「カメラや写真は、個性が出るからね。それが面白いんだよね。個性がね。頑張ってね」
「はい、楽しみながら頑張ります」
と、人生の先輩からエールをもらった。
そして、花を手入れを始められたので、私はその場を離れた。
ものを知らない私は、アラキさんという人がどういう人物かわからなかったので調べてみた。
どうやらアラキさんは、写真家の荒木経惟のことかもしれない。いやきっとそうだ。
写真好きの人からすれば、「え?知らないの?」と驚かれるのだろう。
本当に私はものを知らない。
どういう人物だったのかはまだよく知らないし、ここでは書かない。
奥さんを被写体とした写真集があるのを知ったので、早速手に入れ見ている。
時代背景、奥さんへの愛情とエロスと日常のちょっとした景色が良い。
資格試験本番までは、起きて、出勤して仕事して、資格試験の勉強して、大人の動画見て寝る、の繰り返しの生活を乗り切らねば。
今度は受かるぞ、ちくしょう。
うおー、彼女ほしー。
寝る。